流鳥様からの頂き物ですv



るをいの『Marry me!!』の続きを書いてくださいました♪



[Bat.ED]



両手で包んで捉えていた筈の、手の輪郭が溶け。
目の前で椅子に掛けていた姿が消えたことに一瞬唖然として。
だけれど直ぐに、手の中が“空っぽ”ではないことに気が付いた。
「・・・・・。
マスター?」
柔らかな黒い毛並みと独特の皮膜の手触り。
哺乳類で唯一翼を持つ生き物の姿が、そっと開いた両掌の中で丸まって ふるふると震えている。
・・・以前の記憶が浮かんで少しだけ心臓が痛んだが、今のコレはあれ とは状況が全く違う。
深々と溜息をついて、片掌に載せた小さな背をそっと指先で撫でた。
まあ、飛び去られなかっただけでもマシだろうか。
「・・・・・全く。
そもそも、貴方が私を煽ったんですよ。
これぐらいの覚悟はしておいていただかないと」
自分も他人(ひと)のことは言えないが、このひとは何と言うか、耐性の 位置がズレてる。
「・・だって、だ・・・・
チェリーのばか!」
心の準備ってもんがあるだろー!と泣きそうな苦情が、ピィという蝙蝠 の鳴き声と共に聴こえたが。
「泣きたいのはこっちです。
・・・・・誘っていただいて、嬉しかったのに。
私が本気で応じると“こう”なんですから」
とはいえ、人の姿だったならそれこそ真っ赤に肌を染めてうろたえているん だろうから本気で責める気にはなれないが。
どんなに悪振ってみせようが世慣れていようが、不器用で時折稀有なほ ど初心なところも可愛いとしか思えないのだから。
やれやれ、ともう一度溜息をついて。
愛しいひとの化身を両掌で包んで囁いた。
「・・・。
落ち着いたら、もう一度やり直しても?
・・・・・マイマスター」
「・・・・・。
・・・・・・・・・・イエス」
小さな小さな小さな声に、それでも幸せな苦笑を零して。
窓から覗いている月を見上げた。


 太陽の代わりに夜に光を映す、貴方のご加護をどうか。
 この誓いに。













『vasめも。』の流鳥さんよりいただきました。
こんな素敵な続きを書いていただけるなんて、なんという棚ボタなんでしょう!?
照れてコウモリに変化してしまうマスターが可愛過ぎて、思わず変な声が出ました(笑)。
「やれやれ、しょうがないな」な冷静な雰囲気のチェリーも包容力を感じさせて素敵ですね、チェリーのくせに!


とても素敵な作品ですが、無断転載はくれぐれもご遠慮願います。
どうぞご了承くださいませね。



2011.09